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20歳のクリスマスの思い出

ここ数年はクリスマスとバレンタインデーを無視しながら生きているのですが(ここ1~2年はハロウィンも無視)、それでも街にイルミネーションとか輝きだすと「ク~リスマスが今年もやってくる~♪」って歌いだすようになって、20歳のときのクリスマスの思い出なんかを書こうかと思ってログインしてみました。恋とかロマンチックとか全く出てこないです。

 

20歳のとき、わたしは短大生で、デモンストレーションのバイトをしていました。スーパーで試食・試飲をすすめるおばちゃんみたいな感じのバイトです。時給千円でした。

バイトの面接を受けたときに全然受かった気がしなかったので、面接を受けたことも忘れて家でゴロゴロしてたら、バイト先から電話かかってきて「至急来てくれ」みたいなこと言われたのであわてて行きました。外は寒かったです。

 

バイト先では「明日から生クリームを売ってくれ」と言われて、エプロンと生クリームと地図を渡されました。なんかクリスマスのシーズンだし、ケーキとか手作りする人たちに生クリームを売ってくれ、ということでした。バレンタインに次いで生クリームが売れる季節らしいです。

「とりあえず上着脱いでエプロン着て。今からデモンストレーションの練習するから」と言われて、まぁ、あわてて来たからコートの下は普通にパジャマだったのですが、言われるがまま上だけパジャマの格好でエプロン着けて練習が始まりました。

「いらっしゃいませ~クリスマスのケーキ作りに生クリーム、いかがですか~大変お買い得になっております~」とかとか大声で呼びかけながら左手にボウル、右手に泡立て器カシャカシャ持って、生クリーム泡立てながらひたすら生クリームをすすめる練習でした。

バイト先の人は超怖くて、「君、声がちっさいよ!もっと腹から声出して!演劇部だったんでしょ!」って怒鳴って。

わたしは確かに中学高校と演劇部で、ほかに特技もなにもないから履歴書に「中学高校と演劇部で、仲間と舞台を作り上げるチームワークの大切さを学びました~」って書いたんですけど、基本ビクビクしながら生きているので声が小さいんです。ごめんなさい。

でも、必死で「生クリーム、いかがですか~」と声が裏返りながらもなんとか練習を終えて。超怖いバイト先の人に「明日、頑張ってこい」と肩をたたかれて家に帰りました。23日、天皇誕生日のことでした。

 

24日。世間はクリスマスイブでどこか浮かれてて、寒い寒い中わたしは電車で見知らぬ土地に赴き、見知らぬスーパーで生クリームを売り始めました。

「いらっしゃいませ~、クリスマスのケーキ作りに、生クリームいかがですか~」

寒さに凍えながら(乳製品売り場って超寒い)、泡立て器カシャカシャ言わせながら生クリームを客にすすめる。寒い。かれこれ3時間くらい泡立ててるから右手も痛い。寒い。生クリーム全然売れない。幸せそうな家族連れが目の前を通り過ぎていく。寒い。売れない。でも時給千円だし。がんばる。寒い。

生クリームの実演販売に、使用例としてケーキを作って飾っていたのですが(スポンジに泡立てた生クリーム塗ってチョコとかで飾り付けたもの)、そのケーキもわたしが実演販売前に半ばやっつけ仕事で作ったようなケーキで、あわてて作ったせいで、雪崩にチョコレートのサンタが飲み込まれているような仕上がりになっちゃって、全然クリスマスのハッピー感がないんです。クッキーの星とかお花がケーキにめりこんでる感じになっちゃって、そのせいなのかな、生クリーム売れないんです。声張り上げてお客を呼び込んでいるのに。試食をすすめても断られたり、手だけ握って去っていくおじさんとかいて、なんかもう売れない。

 

昼食(お弁当もらったけど食欲なかった)をスーパーのバックヤードで食べ、再び生クリームを売りに出たわたし。時給千円だし、頑張ろう。働くってたぶんこういうこと。大変なんだね、いつもありがとうお父さん……とか思いながら売り場に出てみれば。

人だかりが…!生クリーム売り場に…なんか人集まっている…!

そこにはベテランデモンストレーションガールの姿が。なんかバイト先の人がわたしを心配に思ったらしくて急きょ派遣してくれたみたいで。心強い助っ人…!で、ベテランはやっぱり違うんです。声の張り方から違う。大きな聞き取りやすい声で、にこやかな表情で、生クリームをお客様にすすめる。彼女の周りには、わたしのときにはできなかった人の輪ができている。生クリームをつけたスポンジを子どもたちにすすめる彼女。「うま!」とか「甘~!」とか感想を述べる子どもたち。そして生クリームを手に取るお母さんたち。「あら、安くなっているじゃないの」そしてそっと買い物かごに生クリームを……!

すごい。こうやって品物は売れていくのですね。勉強になった…!

午後だけの売り上げでその日のノルマを達成して(ベテランさんは仕事を終えるとにこやかな表情そのままに「じゃ、おつかれさま」と言って帰っていきました。さすが…!この日の売り上げの九割は彼女のおかげ。なんかこんなんで時給もらっていいのか申し訳ないくらい)、一仕事終えたわたし。

帰りの電車の中で売り上げ報告のメールをバイト先に送り、無事に帰宅。家に帰る頃にはすっかり日も落ちて、近所で庭にクリスマスツリー飾っているお家のイルミネーションが輝いていました。20歳のクリスマスのことでした。

 

……ってなことをふと思い出してブログに書いてみたんだけれども、無駄に長くなってしまったよ!特にオチはない!恋人もロマンチックもないよ!